イランのF-4「ファントム」

 イラン空軍に装備されているF-4D、F-4E及びRF-4Eは、1980年9月23日に始まったイラン・イラク戦争で使用された。1980年秋の会戦において、両者は、航空隊を広く使用し、イラン空軍の主要「稼動」機となったのは、F-4及びF-5(「フェニックス」ミサイルを装備するより複雑なF-14は、非常に希にしか戦闘で使用されなかった。)だった。開戦までに、イランには、全て改良型の50機の戦闘可能な「ファントム」が存在した。しかしながら、アメリカ製機の予備部品不足(米国の制裁により引き起こされた。)は、イラン航空隊の戦闘能力を急速に「弱体化」させた(1982年中盤までに、イランは、首都周辺に集中した数機のF-4、F-14及びF-5しか同時に空中に上げることができず、Tu-16、Tu-22及びMiG-25RBのテヘランに対する打撃を撃退しようと試み、イランは、数機のイラク爆撃機を撃墜できた。). 1982〜83年冬、アメリカ諜報部の情報によれば、「計10個のF-4D及びF-4E飛行隊が、予備部品の完全な欠如のため、非稼動状態にあった」(より単純なF-5のみが戦い続けた。)。

 米国によるイランへの軍事機材納入に対する制裁の導入後、テヘランの主要「供給国」となったのは、イスラエルだった。1983年までに、イランは、100機の戦闘可能な機体を保有していた(約40機の「ファントム」を含む。)。戦闘損失は、この時までに、各種機体約80機に達した(イラクも、ほぼ同数を失った。)。密輸方法(イスラエルの援助の下、アメリカの制裁を迂回しつつ)により、「ファントム」の予備部品及び装備がイランに搬入できたとき、この戦闘機の活動が急成長し、空戦地帯が拡大した。つまり、1984年6月5日、ペルシャ湾上空で、サウジの2機のF-15とイラン空軍の2機のF-4間で戦闘が起こった。戦闘は、荒々しい機動を使用して短距離で行われ、1機の「ファントム」のミサイルによる撃墜で終わった。サウジアラビアの飛行士の話によれば、2機目のF-4もミサイルで撃破され、恐らく、墜落したであろう。1988年始め、12機のF-4を一時的に「蘇生」できたイラン人は、ホルムズ海峡を通過する中立国船舶に対する打撃を実践し始めた。1988年2月、リベリアのタンカー「ペトロバルク・パイオニア」が最初の攻撃に曝された。低空で目標に接近しつつ、「ファントム」は、水平線飛行から、船に対して2発の「ブルパップ」ミサイルの発射を遂行したが、命中しなかった。

 それにも拘らず、紛争中におけるF-4D及びF-4Eの主要用途は、タンカー対策ではなく、イラク領内の軍事施設に対する爆撃実施及び地上部隊の直接航空支援だった。戦線上空において、F-4は、その「旧友」であるMiG-21戦闘機、並びにイラク空軍に装備されているより近代的なMiG-23MF、Su-20及び「ミラージュ」F.1と再会した。イラク空軍代表の主張によれば、1983年夏までにイラン航空隊により撃墜されたイラク機の過半数は、「スパロー」ミサイルの助けの下、「ファントム」により撃墜された(イラクは、全体として、MiG-25×1機、「ミラージュ」F.1×6機、MiG-21/MiG-19/F-6、Su-7B及びSu-20×35機を含む79機を失った。)。これほど比較的高い中射程ミサイルの成果は、紛争第1段階におけるイラク航空隊の戦術の紋切り型により説明できる。攻撃機は、主として、中高度で行動し、事実上、ECM手段を使用しなかった。事後、イラク空軍は、低空(30〜60m)からの爆撃を実践に移し、戦闘機及び対空ミサイル「ホーク」による損失を低下させた。総じて、戦線上空での空中戦は、最良の機体を保有するイラク側の若干の優勢で行われた(1983年1月、ソ連は、イラクへの軍事納入を再開し、特に、MiG-21、MiG-23MS及びMiG-23BN戦闘機を送った。)。

 戦闘行動中、戦史上最初の戦闘ヘリと戦闘機の衝突も起こった。その1つは、「ファントム」にとって、非常に惨めに終わった。イラクのMi-24を攻撃して、外した後、イランの戦闘機自体が攻撃に曝された。ヘリは、飛行機を追尾して、対戦車ミサイル「ファラング」を発射し、目標に到達し、驚く歩兵の目の前で「ファントム」を撃墜した。

 「ファントム」の戦闘使用の最後の事例は、1980〜89年の戦争後に「平静を取り戻した」イラン空軍が、F-4の助けの下、イラク領内に位置するアル-ハリス及びジャリュラ市地区の反イラン組織「ムジャヒディン-エ・ハルク」の基地を爆撃した1993年5月に記録された。フガス爆弾の爆発により、ガソリン・タンクが爆発し、送電線が破壊され、民間住民中に犠牲者があった・・・。

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最終更新日:2004/03/15

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