アブドゥッラ・ヌリ

 イランの統治聖職者階級の第2世代を代表する政治活動家である。

 1989年のH.ラフサンジャニの大統領選出後、彼を支持した政治活動家の多数は、アリ・アクバル・モフタシェミプルの内務相任命に賛成した。議会における「左派」多数派の影響力を考慮すると同時に、彼に加えられる圧力に屈することを望まず、H.ラフサンジャニは、A.ヌリを推薦し、メジリスで彼の承認を得た。

 新しい内務相は、内務省の庇護下で機能する統一機構、秩序警備軍への憲兵、市警察及びイスラム革命委員会の統合を発議した。当時、A.ヌリは、その任命が彼の管轄下にあった州知事の更迭に関する措置を採ろうとはしなかった。1993年までそのポストに在任し、彼は、当期間にテヘラン市長になったK.カルバスチを常に支援した。

 H.ラフサンジャニは、1993年の大統領選挙後に強まった政敵からの圧力の結果、A.ヌリの更迭と、新政府での彼の場所への元外務次官アリ・モハマッド・バシャラチの任命に同意せざるを得なかった。統治聖職者階級の徹底した保守層の代表であるA.バシャラチは、州知事のポストに、彼と見解を共にする政治活動家を任命した。それと共に、テヘラン市役所が伝統的に大統領の領地と考えられ、H.ラフサンジャニが自分の側近の1人に対する非難を許さなかったため、 K.カルバスチの退任を得ることができなかった。

 政権離脱の1年後、A.ヌリは、K.カルバスチが党首となった創作従事者党からの第5期議会代議員候補者のリストに編入された。メジリスで少数派閥の一員となり、A.ヌリは、H.ラフサンジャニの政府方針の支持の保障のために、無所属代議員の結集に積極的に参加した。M.ハタミの大統領選挙勝利後、彼は、新政府閣僚の信任決議に関する問題解決の過程において、必要最小限の票数を得て、内務相に再び任命された。1997年秋、大統領の発議により、A.ヌリは、事実上全ての州の知事のポストに政府方針の支持者を任命した。M.ハタミの改革支持の公言、並びに政党及び出版マスコミの活動の大きな自由の保障に向けられた実践的措置は、A.ヌリの個人的人気の成長を促進した。このとき、M.ハタミの政治方針の敵は、テヘラン市長、創作従事者党書記長K.カルバスチに対して、汚職の嫌疑で刑事事件の告訴を主導した。予防措置として、拘留が選ばれた。A.ヌリは、これ見よがしにテヘラン市長の親族を訪問し、彼の支援を表明した。その外、彼は、司法権力指導部と一連の協議を行い、K.カルバスチの仮釈放を獲得した。報復措置として、議会の保守代議員達は、内務相の弾劾に関する問題を提起した。この際、主な要求となったのは、政治問題担当次官M.タジュザデの罷免と、K.カルバスチ側での司法機関の業務へのA.ヌリの干渉の停止だった。A.ヌリは、イラン・イスラム共和国大統領M.ハタミと協議を行い、政府全体の行動の非難強化に口実を与えないために、事実上、メジリスに対する自己弁護を拒否した。彼の退任後、1998年夏、内務相のポストには、A.ムザヴィ・ラリが任命された。A.ヌリは、「ホルダド」紙の発行を含めて、社会・政治活動に積極的に従事し続けた。地方権力機関の選挙中、彼は、テヘラン管区で最大の票数を獲得し、首都イスラム会議議長となった。K.カルバスチの事件に関する審理は、禁錮及び国家権力機関での職務従事禁止を規定した判決の言い渡しで終わった。A.ヌリは、彼の側近の1人であるM.アルヴィリのテヘラン市長のポスト任命に対して、彼が所有する全ての影響力を利用した。同期間、保守主義者は、改革派出版マスコミの活動停止に向けられた活発なキャンペーンを展開した。最初の犠牲者となったのは、大衆紙「サラム」とその編集長M.ホエニハであり、イスラムの価値観の侵害の容疑で有罪判決が下された。事実上同時に、この時までにテヘラン市イスラム会議議長のポストから退き、第6期議会選挙出馬の意思を表明していたA.ヌリの刑事訴追が始まった。メジリス代議員となるだけではなく、それを率いる現実的チャンスを有したA.ヌリは、保守主義者側からの非難に対する主要標的に変わった。彼には、イスラム体制の基盤の侮辱と国家安全の破壊の被疑事実が提示された。聖職者事件に関する裁判所により下された判決は、禁錮5年を規定した。予想に反して、A.ヌリは、現在に至るまで、彼の敵の評価によれば、改革運動の最も積極的な活動家の1人の人気低下をもたらすはずである減刑を陳情していない。彼は、他の政治犯と同様に、釈放後、住民多数の目に「国民的英雄」の地位を獲得し、イランの国内舞台で重要な地位の1つを占める現実的チャンスを有している。

 A.ヌリの弟アリレザ・ヌリは、主として自分の近親者の人気のおかげで、第6期議会代議員となった。

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最終更新日:2004/03/15

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