イランの石油産業

 石油及び石油製品の輸出からの収入は、経済成長、外貨収入、及び国家予算の歳入部分の形成の主要源泉である。イラン・イスラム共和国における外貨収入の85%とリヤール収入の75%は、直接又は間接的に石油生産と関連している。

 探査済みの石油埋蔵量に関して、イランは、世界第4位を占める。総埋蔵量は、3,700億バーレル(500億t)に達する。確認された備蓄量は、各種データによれば、96%から1,000億バーレル(130〜134億t)を前後する。公式確認された石油埋蔵の内、80%は、フゼスタン州の油田とペルシャ湾の大陸棚油田に眠っている。

 イランにおける採油は、2001年、日産340万から410万バーレルの範囲内にあった。1年間で、1億8,200万tの石油が採油され、その内、1億1,200万tは、輸出に供給された。高水準の世界石油価格と関連して、当期間における石油輸出からの30億ドル の外貨収入は、国家予算に記録された額を超え、160億ドルに達した。

 イランは、石油輸出国機構(OPEC)加盟国であり、同機構の枠内における原油生産規模に関して、OPECの総生産量において14.6%の割当を有しつつ、サウジアラビアに次いで2位を占める。世界の原油生産におけるイランの割合は、5.7%に達する。

 世界の生産国中において、イランは、サウジアラビア、米国及びロシアに次ぎ、第4位を占める。石油の87%は、大陸油田で採油され、その主要なものは、ギャチサラン、ビビ・ハキメ、アフバズ油田、マスジェジェ・ソレイマン、ハフトゲル、アガ-ジャリ(カランジュ及びマルン油田から成る。)及びパレンである。イラン・イスラム共和国の大陸棚油田では、日産60万バーレルが採油されている。その石油の採掘及び生産の費用は、3〜4ドル/バーレルに達する。大陸のいくつかの油田では、この費用は著しく低い。

 2001年、イランは、OPECにより定められる採油割当を超えた。OPECの決定に従い、2001年2月まで39億1,600万バーレル/日だった同機構加盟国の石油生産におけるイランの割当は、2月1日から36億9,800万バーレル、4月1日から35億5,200万バーレル、9月1日から34億600万バーレル/日に達した。

 イランの石油産業の生産能力は、日産400万バーレルに達する。イラン石油の主要購入者は、日本、韓国、中国、イタリア、ドイツ、インドの石油会社であった。

 政府は、自国の石油部門の更なる発展に大きな注意を払っている。各地区、特に南部及び南西部において、地質調査作業が行われている。1999年から、イランは、北部、特に、カスピ海南部の大陸棚において、石油及びガスの探査を行っている。

 イラン石油相B.ザンゲネは、過去数年間、国内で石油及びガスに関する地質調査が活発化したと表明した。つまり、1999〜2001年、探査された石油備蓄における増加は、500億バーレル に達したが、1979〜1998年の間、この指標は、計100億バーレルだった。探査された天然ガスの埋蔵量における増加は、過去2年間で、1兆4千億立方mに達した。B.ザンガネは、南部地区の事実上全ての石油が探査されたと指摘した。個別の油田に関して、探査された石油埋蔵量は、アザデガン250億、クシュク110億、マンスラバード45億、南パルス60億、チャシュレ10億バーレル と振り分けられている。

 2001年、イランのマスコミは、カスピ海南部で、石油及び天然ガスの豊かな油田が発見されたと報道した。発見された油田の埋蔵量は、イラン国営石油会社(NIPC)により、石油100億バーレル及びガス5,600億立方mと評価されている。油田の探査は、18ヶ月間、1万平方kmの面積で行われた。この地区での石油1バーレルの採掘原価は、5〜7ドルに達し得る。地質調査作業は、英国の「ラスモ」及び英蘭の「ロイヤル・ダッチ・シェル」社の参加によりNIPCが行った。カスピ海全水域における石油及びガスの総埋蔵量は、300億バーレル及び12兆立方mと評価されている。ペルシャ湾北部の浅水海域のイラン沿岸水域(アバダン砂漠地帯)において、新しい油田が発見された。これについては、国営ラジオのインタビューにおいて、イラン国営石油会社副社長M.ミルモエジが表明した。油田の石油埋蔵量は、260億バーレルと評価されている。M.ミルモエジは、その規模が400億立方mと評価されるフゼスタン州(ラムホルムズ地区)における天然ガス田の発見について伝えた。

 イランにおける石油製品生産は、アバダン、イスファハン、バンダル・アッバス、アラク、テヘラン、タヴリーズ、シラズ、ケルマンシャフ市及びラバン島に位置する9ヶ所の製油所で実施されている。イランの製油所の総生産力は、日産140万バーレルに達する。

 イランの製油所に入ってくる原油の加工製品は、ガソリン、灯油、ディーゼル燃料、重油、エンジン・オイル、瀝青である。イランの製油所では、日産4千万ℓのガソリンが生産されているが、この燃料に対する常に増加する需要を完全には満足していない。イランは、著しい量のガソリンを輸入せざるを得ない。2001年、イランは、10億ドルのガソリンその他の燃料を輸入した。

 イランは、その石油製品(灯油、ディーゼル燃料、重油、瀝青)の一部を輸出に回している。

 石油製品の国内需要の平均成長率は、年間6%に達する。イラン指導部は、民間部門の誘致による石油生産のしかるべき生産力への拡大と新しい製油所の建設のプログラムの実現に向けられた措置を採っている。

 2001年、イラン・イスラム共和国最高経済会議は、石油・ガス及び石油化学産業部門における発展プロジェクトのリストを承認した。これには、アバダン、テヘラン、イスファガン、アラク、タブリーズ、シラズ及びケルマイシャフ精油所の近代化、並びに石油貯蔵庫及び石油パイプラインの建設を含めて、石油及び石油製品の製油、配分及び輸送領域 における19の未完遂のプロジェクトが属する。

 日産40万バーレルの名目生産力を有する国内最大のアバダン製油所の近代化が行われている。追加施設の建設後、この製油所の生産力は、日産50万バーレルにまで増加する。

 タブリーズ製油所の近代化が始まり、18ヵ月後に完了するはずである。近代化後、製油所は、中央アジア諸国から入ってくる石油を加工用に受け入れるだろう。環境汚染水準の低下のために、技術装置の動作用の燃料としては、重油ではなく、天然ガスが使用されるだろう。鉛を含有しないガソリンの生産開始が計画されている。国内の石油製品の総生産規模における製油所の割合は、8%に達する。

 ケシュム島の排他的経済水域では、日産16万5千バーレルの新しい製油所の建設が続いている。18億ドルのプロジェクトの出資は、70%がカナダを含む外国により、30%が非国営部門のイラン人投資家により保障されている。企業のための設備は、ドイツ及びノルウェーで購入されるだろう。

 沿カスピ海諸国の石油の加工のために、北部のマザンデラン及びゴレスタン州に3ヶ所の製油所を民間部門の力で建設する計画が存在する。

 自動車輸送手段に必要とされる石油製品(ガソリン及びディーゼル燃料)の生産は、自動車輸送規模の成長と関連して増大するだろう。日常部門で必要とされる灯油と、一連のエネルギー施設で必要とされる重油の生産は、国のガス化拡大計画と関連して、削減されるか、同一水準に維持されるだろう。

 石油製品の国内需要は、浪費性を帯びている。高水準の需要の主要原因は、石油製品及び電気エネルギーの使用への国家の大きな補助金(年間100億ドル)である。その社会政策への依存に陥った政府は、この分野における補助金額の急激な削減に踏み切らず、石油製品及び電気エネルギーの価格の常時かつ適切な上昇を行うことを選んでいる。

 石油製品の国内需要の急成長と、物理的に常に成長するOPECの枠内での石油総生産における自国の割当を保持するイランの希求(世界市場における原油需要は、毎年日産150万バーレル の範囲内で成長するだろう。)は、イランにおける原油生産水準の向上に向けられた緊急措置の実施を要求している。

 イランの石油・ガス部門の指導者の表明によれば、国内の石油生産の増加は、国家的必要性である。石油・ガス部門の発展に向けられた政策編成における主要課題は、石油及びガス産地の他国との緊急共同開発とOPECにおけるイランの割当の維持、石油及びガス産地の開発への投資の誘致、石油及びガス産地の開発への先端技術の投入、イランの石油及びガス産地の主権の維持、沿カスピ海の石油のイラン領土を経由した世界市場への輸送の誘致、天然ガス生産の拡大、他の石油製品の代わりの燃料としてのガスの使用の拡大である。

 イラン指導部は、国内石油部門の機構再編に関する措置を行っている。これらの措置は、部門統制の分権、統制システムの改革及び部署業務の効率の向上、石油省システムに含まれる一連の機構及び会社の民営化を含む。

 生産企業の統制の完全化のため、地域石油及びガス会社が創設され、製油所には、理事会の統制下で会社の地位が導入された。石油相B.ザンガネの言葉によれば、5地域会社の創設は、石油及びガスの採掘量の増加並びにこの炭化水素原料の売却からの売上金の増加を可能にするだろう。

 革命後初めて、イラン政府と議会は、国内石油産業の国家独占の廃止に関する決定を採択した。議会により承認された第3次5カ年計画に関する法案第34条は、石油及び石油製品の加工、分配、並びに産業設備による石油・ガス部門の保障への民間企業及び資本への参加を規定している。

 石油省は、5ヵ年計画の終わり(2005年)までに、23の機構部署及び会社、先ず第1に、液化ガスの配分に関するセンター、国営イラン・ボーリング会社(NIDC)、国営イラン・タンカー会社(NITC)のような大企業を含めて、石油製品の加工、配分及び輸送に従事する機構を民間及び非国家部門に移管することを計画している。NIDCの民営化は、一連のメジリス代議員、会社自体の職員及びその領域で会社が主要業務を遂行しているフゼスタン州の社会の反対のため、現在のところ中断している。石油省指導部は、一連の機構及び会社の民営化により、これら部署の業務効率と収益性が向上し、民間部門との協力への外国人投資家の関心を強め、第3次5ヵ年計画に入れられた石油・ガス部門発展プログラムの実現に有益な影響を与えると考えている。

 石油省では、主要採油国グループにおけるイランの立場の強化のためには、次の20年間で日産800万バーレルまで 採油を行う、言い換えれば、採油を2倍に増大させる必要がある以上、長期的展望で部門の生産力増強に関するプロジェクトが立案されている。当該プログラムの実現は、この部門への少なくとも210億ドルの追加投資を必要とする。現段階において、イランは、既存の生産力の拡大に30億ドル、現行油田からの採油の低下の補償に25億ドルを緊急に必要としている。過去数年間、イランは、150億ドルの石油・ガス部門の発展に関する12大協定を外国企業と署名した。プロジェクトは、国内外の財源、並びに外国の技術を誘致して実施されるだろう。これらの契約履行後、国内では、34万バーレル/日の原油と日産2億1,400万立方のガスが追加で生産されるだろう。

 しかしながら、イランの石油・ガス・プロジェクトへの外国企業の参加は、ダマート法によるイラン及びリビアに対する米国の制裁と関連して抑制されている。フランス・ベルギーの「トアリフィナ・エルフ」、英蘭の「ロイヤル・ダッチ・シェル」、イタリアの「ENI」及びその子会社「アジン」、マレーシアの「ペトロナス」のような一連の大企業、並びに「ガスプロム」を長とするロシアの数社は、若干のイランの石油・ガス・プロジェクトの実現に既に参加しており、イランにより発表された国際選考で競合している。

 アメリカ企業の代表は、イラン及び地域の石油・ガス部門問題に充てられた国際会議及びセミナーに参加している。情報入手のためのオブザーバーとして、若干のプロジェクトの選考へのこれら企業の参加表明に関する情報が存在する。

 イランにおける石油及びガス産業の未来志向の発展のためには、100億ドル以上の額の年間投資が必要である。

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最終更新日:2004/03/15

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