サダム黙示録

独立新聞、2002年3月19日

 戦争は、今、疑う余地のない現実である。米大統領ジョージ・ブッシュは、3月18日、イラク大統領サダム・フセインに最後通牒を提示した。アメリカ国民に訴えつつ、彼は、イラク指導者が48時間以内に権力を放棄し、イラクを離れるように要求した。サダム・フセインに提示されたアメリカの最後通牒の期限は、3月20日のバグダッド時間7時に満了する。

 しかしながら、恐らく、イラクに対する連合国の軍事行動は、この朝には始まらないだろう。以前に形成された米国防総省の伝統に従い、空中攻撃手段の最初の大規模打撃は、必ず日没時間に始まり、3月21日のバグダッド時間0200〜0300に定められるだろう。

 武力衝突直前、サダム・フセインの軍に対する情報・心理作用が白熱する。米空軍機は、イラク上空で、既に70万枚以上の扇動ビラを撒いた。そこでは、イラク軍人に、投降し、連合軍に対して大量破壊兵器を使用しないように呼びかけている。

 専門家の意見によれば、軍事行動は、以下の想定で展開するだろう。ペンタゴンは、通常、最小の損害で攻勢作戦のための条件を最大限短期間に創出するはずである航空隊に主な賭けを行う。米国とその同盟国の地上部隊及び海兵隊は、航空支援の下、イラク軍の総じて既に戦意喪失した集団の撃破完遂のために使用することが見込まれる。

 今回の湾岸戦争の第1段階において、高位軍人は、4〜5日間の航空攻勢作戦が行われると考えている。目的は、制空権の奪取とイラクの国家及び軍事統制の混乱である。

米国とその連合国の予想される打撃方面図

米国とその連合国の予想される打撃方面図

■サダム・フセインにとっての悪夢の最初の夜

 航空隊及び巡航ミサイルの打撃の数時間前(3月20日1500〜1700から)、地上及び飛行機の電子戦手段による大規模電磁妨害の設定が着手されるだろう。その結果、イラクの部隊及び武器統制、何よりも防空システムは、完全に混乱するだろう。

 巡航ミサイル搭載戦略爆撃機B-52Hは、この航空編隊の移動時間(英国のフェルフォード航空基地から飛行した場合)が20時間以上に達する以上、事前に離陸する。少し後、オマーンの航空基地からB-1、ディエゴ・ガルシア環礁からB-2及びB-52爆撃機が離陸する。

 その後、3月20日夜、マルカズ・タマリド(オマーン)、エル・ハルジ(サウジアラビア)及びインジルリク、コニヤ(トルコ)航空基地の滑走路から、E-3「AWACS」及びE-8「ジースターズ」型AWACS機30機が離陸する。その任務は、イラク上空の数百機の航空機の管制の保障と敵目標の発見である。

 半夜後、ペルシャ湾、紅海及び地中海海域から、海上発射型巡航ミサイルの発射が始まる。打撃1時間半前、空母(6個航空打撃群)とペルシャ湾岸諸国の航空基地から、打撃航空隊が離陸する。3月21日0200〜0300頃、サダム・フセインの部隊は、米英から最初の壊滅的なミサイル航空打撃を受ける。そこでは、300発以上の海上及び空中発射型巡航ミサイル、約600機の戦術航空隊及び海軍航空隊の軍用機、30機までの戦略爆撃機の使用が計画されていると、専門家は予想している。

 最初の打撃の2〜6時間後、2時間以上に渡る2回目の大規模航空打撃(1000〜1200を指向)が加えられ、1700〜1800、3回目の空襲が始まる公算が大である。大きな確率をもって、初日に連合国の航空隊が1,500ソーティー以上を実行すると予想できる。

■戦争2〜5日目

 3月21日の日中、連合国により、比較的小グループの戦術機と艦載機の集団及び単発打撃が組織されるだろう。同期間、イラクの特に重要な目標に対して、エル・ウデイド及びシェイフ・イサ航空基地からF-117ステルス機が行動する公算が非常に大きい。3月21日から22日にかけての夜の始まりと共に、イラク軍は、今度は、次の大規模ミサイル航空打撃により徹底的に叩かれるだろう。

 これには、空母「リンカーン」、「コンステレーション」、英海軍の「アークロイヤル」、「キティーホーク」、「ルーズベルト」、「トルーマン」の艦載機と、インジルリク、エル・ジャベル、エル・ウデイド、エル・ハルジ、アリ-アス-サレム、マルカズ・タマリド、ムヴァッファク-アス-サチ及びキング・フェイサル航空基地の500機以上の戦術機が参加する。ペルシャ湾海域からも、水上艦艇21隻と原子力潜水艦14隻(艦艇と原子力潜水艦上には、既に870発の海上発射型巡航ミサイルの予備が存在している。)から発射される数百発の「トマホーク」がサダム・フセインに降り注ぐだろう。

 最後の3日間(3月22〜25日)、大規模ミサイル航空打撃の集中度は、若干低下し得る。4〜5日間の最初の航空攻勢作戦中、計5回までの大規模ミサイル航空打撃が加えられ得る(主として、日没時間)。打撃間の間隙(6〜7時間)は、小グループの戦術及び艦載航空隊機の組織的戦闘行動で埋められるだろう。言い換えれば、サダム・フセインの部隊は、毎分、連合軍の火力影響下にあるだろう。最初の5日間の軍事行動後(達成された戦果に応じて)、以前に立案された連合国の計画の最初の修正があり得る。

 米国とその同盟国の空軍の主要打撃対象は、防空システム要素(対空ミサイル及びレーダー陣地、通信拠点)、戦闘航空隊の駐屯飛行場、全レベルの指揮所及び統制所であろう。連合国の空軍の努力は、3方面に配分される(図参照)。空襲は、第1に、トルコ領土(インジルリク、ジヤルバクイル及びコニヤ飛行場、地中海上の空母)から、第2に、湾岸の米国の同盟国の飛行場と紅海及び地中海の空母から、第3にペルシャ湾の空母から実施されるだろう。大規模打撃における航空隊の作戦隊形は、巡航ミサイル梯隊、防空突破・制圧梯隊及び1〜2個の打撃梯隊を含むだろう。

 米国とその同盟国は、武力行動開始時から72時間以内にバグダッドを奪取することを意図している。このために、合衆国の第18空挺軍団(第82空挺師団と第101空中襲撃師団の部隊)と連合王国の強襲旅団が行動することが計画されている。それ故、軍事行動第1週の終了までに、サダム・フセインの部隊が撃破され、イラクの独裁者自身が非合法状態に移ることが排除できない。

 総じて、作戦の地上段階開始期日に対する専門家の意見は分かれている。楽観的な案(アナリストの多くが傾いている。)では、5〜6日間に、クウェートに創設された地上軍集団の戦闘使用があり得る。事態の不利な展開の際、地上部隊は、30日間の爆撃後、イラク領内に投入される。戦後のイラク情勢の処理は、どう見ても、アフガニスタンでワシントンが得た経験を考慮して実施されるだろう。

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最終更新日:2004/03/15

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