第1撃は最後の打撃

独立軍事評論、2002年3月7日

 過去10日間で、ペルシャ湾地帯における多国籍軍主力の編成が事実上完了した。ここには、150〜200機までが追加で移動し、連合海軍は、ほぼ100隻を数え、地上部隊の人数は、18万人にまで達した。米英の偵察機は、イラク領内の予想される打撃目標の組織的偵察を行っている。AWACS機と「ホークアイ」が、ほぼ1日中警戒を実施し、既に合衆国とその同盟国の空軍及び海軍航空隊の管制を引き受ける準備をしている。

■航空戦役

 過去数十年間に渡るアメリカ軍とその指揮する連合集団の行動の性格は、戦闘作戦の準備及び実施の際、 米国及びNATOに存在する軍事専門家にとって指導的な文書の規定を堅持していることを一目瞭然に示した。それ故、イラクに対する勝利の達成のためには、イラク軍の撃破と多国籍軍地上部隊の事後の攻勢に好適な条件の創出を目的とする航空戦役の予防実施の公算が最も高いことを予想すべきである。

 軍事行動の第1段階、イラクに対する航空作戦の予想される戦果の事前評価は、その期間が30日以上にまでなることを示している。 これは、米国とその同盟国の空軍及び海軍の航空集団(軍用機750機以上と空中及び海上発射巡航ミサイル600発以上)の参加と共に、統一構想と計画により行われるだろう。これら戦力は、今日、バーレーン、カタール、クウェート、オマーン、サウジアラビア及びトルコの飛行場、アラビア海及びペルシャ湾海域、地中海東部及び紅海海域の艦艇上に展開している。

 その外、米空軍戦闘航空司令部の戦略爆撃機の広範囲な参加が排除できない。この際、AWACS機(E-ЗA、E-2C)は、空中において航空戦力の行動の連続的管制を保障し、偵察・攻撃統制機(E-8A)は、軍用機の攻撃を修正するはずである。専用の電子戦機EA-6BとEC-13OHには、航空隊主力の行動の援護と部隊及び兵器統制手段の制圧、イラクの無線及び電波探知偵察手段、防空射撃手段への強力な妨害の設定等の任務が委任される。各種偵察機、無人機及び偽目標は、現実的な時間の範囲で目標の偵察を行い、防空システムを突破して、イラクの射撃統制手段を飽和状態にするだろう。

 イラクは、米国とその同盟国の航空攻撃戦力に、主として旧式な戦闘機130機以下、中射程及び短射程対空ミサイル発射装置100基以下、近接対空ミサイル発射装置及び高射砲800門以上で対抗できる。約220目標チャンネルが存在する。上記の数値を考慮して、これは、防空目標チャンネル1つに対して、ほぼ4空中目標が当たることを意味する。それと共に、 イラクの防空手段の技術的準備の低効率、その脆弱な対妨害防護性、対空ミサイル部隊の中央統制と戦闘航空隊及び地上軍の防空部隊との協力の欠如により、米国とその同盟国の優勢は、事実上絶対的であろう。

ペルシャ湾地帯における地上、海上及び航空軍集団の戦闘編成増強の推移

ペルシャ湾地帯における地上、海上及び航空軍集団の戦闘編成増強の推移

■第1撃

 疑いなく、多国籍軍司令部は、3日間までの航空戦役の第1段階において、制空権を奪取し、イラクの国家及び軍事統制を混乱させようとしている。打撃の主要対象になるのは、何よりも、全階層の指揮所及び統制所、対空ミサイル陣地及びレーダーの防空システム要素、通信拠点、並びに戦闘航空隊の駐屯飛行場であり、2方面から3〜5回の大規模ミサイル航空打撃が加えられ得る。

 北部方面では、全集団編成の内、飛行機の30〜40%と巡航ミサイルの20〜30%、南部方面では、飛行機の60〜70%と各種巡航ミサイル70〜80%の参加が予想される。シリアとヨルダンが軍用機のその領土通過を明らかに許可しないことを考慮して、西部方面に配備された航空攻撃機集団は、北方からトルコ領土を経由して行動する公算が大きい。最初の大規模ミサイル航空打撃においては、海上及び空中発射巡航ミサイル100発、戦術航空隊及び海軍航空隊の軍用機400機以上(その内、攻撃機300機以上)、各種無人機20〜30機及び偽目標200機までが使用され得る。

 十年前のイラクとの戦争の経験と1991年の多国籍軍航空隊の上首尾な行動を考慮すれば、当時成功した戦術のある種の再現が排除できない。それ故、 最初の大規模ミサイル航空打撃における航空攻撃手段の隊形は、複数の梯隊を含むものと予想すべきである。第1梯隊の編成には、無人機(巡航ミサイル、無人機及び偽目標)が存在する。これには、防空突破梯隊と1〜2個打撃梯隊(戦術及び艦載航空隊の飛行機)が続く。大規模ミサイル航空打撃の総時間は、2時間から5時間であろう。

  無人機梯隊の海上及び空中発射巡航ミサイルは、戦闘航空隊の駐屯飛行場、対空ミサイル、レーダー、電子戦の固定陣地、指揮所及び通信拠点等の事前偵察された目標に対する打撃任務を遂行するだろう。無人機には、イラクの防空システム及び複合体の制圧梯隊のための防空システムの偵察(解明)任務が委ねられる。同時に、再発見された最も重要な施設の破壊のために、F-117ステルス機の飛行も続く。

 若干の間隙(5分から10分まで)と共に、無人機梯隊に引き続き、戦術戦闘機(50〜60%)、防空戦闘機(30〜40%)、偵察機及び電子戦機(10%)のグループから成るイラクの防空システムの突破梯隊が行動するだろう。これらは、イラクの重要施設の打撃及び防衛方面において、対空ミサイル部隊及びレーダー部隊主力を制圧し、並びに飛行場を攻撃して、その事後の撃滅のためにイラクの戦闘航空隊をそこに釘付けにするはずである。

 打撃梯隊の編成について言えば、戦術戦闘機群(70〜75%以下)、護衛戦闘機群(15〜20以下)、並びに偵察及び電子戦機群(10%以下)が含まれるものと予想すべきである。当梯隊の主要打撃目標は、各級指揮所及び統制所、通信拠点、戦闘航空隊の駐屯飛行場となるだろう。

 作戦に参加する電子戦戦力は、非常に複雑な妨害状況を創出することができる。これは、阻止モードで1kW/MHzと、照準モードで10〜25kW/MHzまでのレーダーに対するアクティブ妨害の強度密度を特徴とするだろう。有人航空隊の打撃中、 アクティブ妨害の強度密度は、打撃航空隊機上の妨害送信機の存在により、著しく増加され(2〜3倍)、阻止モードで2〜3kW/MHzと、照準モードで30〜75kW/MHzにまで達し得る。

 最初の大規模ミサイル・航空打撃と事後の戦闘行動中の多国籍軍の攻撃航空隊戦力の管制は、近東(バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン、クウェート)に創設された空軍機動管制センター、並びに空中指揮所及びAWACS機から実施されるだろう。

■止め

 専門家により行われたイラクの施設に対する多国籍軍航空隊の最初の2回の打撃の際の戦闘行動のシミュレーションの結果の評価は、飛行場及び空中において、事実上、イラクの全航空隊が撃滅され、レーダー、中射程及び長射程対空ミサイル陣地の70〜90%が戦列を離れ、イラク防空戦力のほぼ全ての統制システムが存在を停止することを示した。それと共に、航空隊、巡航ミサイル及び無人機の損害は、各打撃に対して、巡航ミサイル2〜3から4〜6発、戦術機又は艦載機1〜3機以下に過ぎない(イラクの防空効率は、1〜2%以下)。 これは、作戦の準備及び実施を規定する米国及びNATOのしかるべき指導文書の基準により規定された最大許容水準(5%未満)にちょうど一致する。

 このようにして、どう見ても、最初の航空攻勢作戦の1〜2回の大規模打撃で、対イラク戦争全体の目的をほぼ完全に達成することができる。事後、多国籍軍航空隊の主要努力は、その意義を維持している防空システム要素、並びに国家及び軍事統制施設、残存するイラク軍地上集団の撃破に集中するであろう。

 航空攻勢作戦終了後、米国とその同盟国の空軍及び海軍の軍用機は、イラク領内への地上部隊の進入に好適な条件を創出するため、組織的飛行の実施に移行する。その行動の支援及び保障のために、航空隊使用の集中度は、400ソーティー/日にまで達し得る。

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最終更新日:2004/03/15

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