ロシア諜報部、既にバグダッドに

独立新聞、2003年3月28日

 信頼すべき筋によれば、サダム・フセイン政府の秘密文書の捜索及びその特務機関の公文書の奪取を担当するCIAとMI-6の作戦グループが、米英連合軍の戦闘部隊に引き続きイラク領内に入った。両国の諜報員は、特別な関係を有し、しばしば、共同任務を遂行せざるを得なかった。今回のは、最も複雑なものの1つである。CIAとMI-6の作戦要員は、現地市民の非公然情報提供機構の支援なしに、敵中で行動しなければならない。

 明らかに、捜索は、バグダッドに留まらず、他の都市、並びに反イラク連合が関心を示す文書が隠されている進入困難な地域の隠し場所を点検するだろう。

 専門家の意見によれば、イラクによる大量破壊兵器の開発及び生産に関する資料、並びにしかるべき技術文書は、サダムが新たな戦争が不可避なことを確信した直後に焼却された。それ故、今、米英特務機関の関心の主要対象は、イラク諜報部及び防諜部の作戦文書と公文書である。 特にそのために、狩が繰り広げられてもいる。

 ここでは、ロシア特務機関の利益と西側諜報部の交差が明らかである。イラクでは、戦争にも拘らず、3月20日から中央の指示に従い特別条件下での業務体制に移行したSVRとGRUの大使館支局が機能し続けている。ロシア代表は、日々の業務接触を維持し、各種様相の現状に関して、サダム・フセインの特務機関高位職員と作戦協議を行っている。

 米英の侵攻開始の数日前、SVRの2個戦力支援グループ「ザスロ−ン」がバグダッドに到着した事情に、注意を引き付けている。もう1つの「ザスローン」グループは、イランに輸送され、イラク首都の状況紛糾化の際、ロシア外交団がそこに出国するはずである。それにも拘らず、ロシア連邦大使館の警備機能は、伝統的に、今FSBの構成下に入った連邦国境庁が担当していた。明らかに、駐バグダッドSVR支局は、特別期間の行動に対するある特別権限を獲得し、その中には、イラク特務機関の公文書 、エージェント・カードその他の文書のその管轄への引渡とモスクワへの事後の発送に関する問題の解決も存在し得る。これら資料と共に、当該文書をロシア対外諜報部の手に渡した人物が救出され得る。

 当問題が、何れにせよ、イラク大統領サダム・フセインと元SVR長官、アカデミー会員、エウゲニー・プリマコフの秘密会見中に触れられたことは排除できない。プリマコフは、2月23日、バグダッドに到着し、訪問には、機密向上措置が付随した。この訪問に関する情報がマスコミに入ったとき、ロシア連邦外務省は、「会見の目的は、イラク問題に関するロシア指導部の立場を説明し、イラクが国連安全保障理事会決議1441号を厳格に遂行し、完全かつ無条件に国際査察官と協力するとの 約束を得ること」と表明せざるを得なかった。実際、秘密外交の古典的な事例が起こった。

 何故、モスクワに、イラクの諜報部、防諜部及び保安機関の公文書が必要なのか?少なくとも3つの理由を挙げることができる。第1に、その種の文書の所有は、戦後イラク におけるロシアの利益の擁護と、アメリカの占領行政府の代わりにやって来る同国の新しい政治及び軍事エリートに対する必要な影響力の行使において、極めて重要な役割を演じることを可能にする。

 第2に、文書は、いかなる規模、いかなるルートで、サダムがロシアの政党及び運動、並びに政治家個人に資金提供したかという問題を明らかにすることができる。選挙直前、このことは、クレムリンがそれを自由に操作することを可能にする。

 第3に、SVRは、ロシアのための仕事に傾けさせ、一連の諸国の特に価値あるイラクのエージェントを再徴募を行う機会を得る。

 その種の文書へのアクセスを獲得することは、常に、あらゆる特務機関の優先課題と考えられ、このために、あらゆる手段が用いられる。ベルリンの壁崩壊直後、CIAが「シュタージ」の元指導者マルクス(ミーシャ)・ヴォルフ と秘密接触し、合衆国の名において、政治的庇護の提供、カリフォルニアの豪華な別荘及びあらゆる物的問題の解決を彼に保証したのは偶然ではない。ヴォルフには、西側で働いていた東ドイツのエージェントの名前を暴露することだけが要求された 。東ドイツ諜報部のボスが取引の提案を拒否したとき、「シュタージ」アメリカ課長ユルゲン・ロガレ大佐の番になった。彼には、ワシントンが関心を有する情報に対して、100万ドルを支払うことが約束された。何れにせよ、CIAは、「シュタージ」の国外ネットワークに関する資料を手に入れ、秘密裏にドイツから搬出することができた。明らかに、これらエージェントの大部分は、今日、ラングレーの新しい主人のために働いている。

 文書を巡る問題は、米英軍がバグダッドの直ぐ近くまで迫り、その突入を開始したとき、イラク特務機関指導者の前にも不可避的に持ち上がる。勿論、 既存の原則の観点からの唯一信頼できる案は、いかなる方法によってでもエージェントの安全を保障し、作戦記録業務を消滅させることである。しかしながら、サダムが殺されるか、非合法状態に置かれる状況においては、イラク諜報部及び防諜部の重要人物の行動を予測するのは難しい。ある者は死を選び、ある者は地下潜伏又は亡命を、ある者は、恐らく、金と自由世界への出国と交換でエージェントのリストを取引することをCIA及びMI-6に提案して 、独自のゲームを行うことを欲している。要するに、選択肢は多い。バグダッドで市街戦が始まったとき、イラク特務機関の最も価値ある秘密文書の一部が、 治外法権を享受するロシア連邦大使館にあるようなことも排除できない。

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最終更新日:2004/03/15

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