トマホーク撃墜の理論と実践

コンピューテラ誌、2000年9月28日

■衛星電波航法の生来の弱点に関する2人の科学博士の熟考

 衛星電波航法システム(アメリカのGPSと、ロシアのGLONASS)は、何よりも、部隊及び軍事機材の位置・時間保障のために開発された。民間生活への衛星航法方法の積極的な導入は、10〜15年前に初めて始まった。この期間、GPSシステムは、全世界中に流布し、その受信表示機は、大量需要製品となった。航法装置の商業市場の拡大の展望は、米国が、昨年、民間需要の下、システムの改良を開始し、今年5月、10〜20mに達する位置標定の標準精度を約10倍悪化させた選別的アクセス体制を廃止した位、印象的なものだった。

 それと共に、民間部門における驚くべき成功の際、軍事応用における重大な手抜かりが広く知られている。つまり、GPSを使用する武器誘導システムは、非常に多くのトラブルを与えている。「砂漠の狐」作戦時における数百発の「トマホーク」巡航ミサイルの自爆、又はアメリカ人によるセルビア爆撃の際の同ミサイルの「散乱と動揺」が思い出される。この事件が起こると同時に、プレスは、自動誘導武器により使用される航法信号の妨害装置の図式をイラク及びユーゴスラビアに提案したカシノフ教授に関する報道が世界中に配信した。当時、若干の専門家は、彼の提案に懐疑的に接し、後に、アメリカ人の不運な「トマホーク」が墜落したが、その経緯は忘れられ始めた。しかしながら、このテーマに対する通信社の報道は、出現時から定期的なものとなった。例えば、最新のものの1つは、「・・・イラク軍は、イラク上空の米英航空機の飛行への対抗のために、ロシア製妨害送信機を使用している。妨害は、航法情報システムGPSの受信機に与えられている。クウェートでは、このために、ロシアの会社「アヴィアコンヴェルシヤ」により開発された装置が使用されていると考えている。衛星航法に関する号のテーマの準備課題を受け入れた後、私には、現役の主要人物に説明を求めることしか、何も残っていなかった。先ずは、ペテルブルグにおいて、工学科学博士ワレンチン・カシノフに。

ワージム・イワンチェンコ:ワレンチン・ウラジーミロヴィッチ、あなたにより提案された航法信号妨害の原理の構想は、どのようなものなのか?

ワレンチン・カシノフ:そう、構想は私のものではない。それは、1992年の「ラジオテフニカ」誌に公表された電波電子戦に関する有名な専門家であるポドゥブノヴォ及びオフチャレンコの論文において述べられた。私は単に、具体的な目的に対するこのアプローチの可能性を示しただけである。構想の本質は、空間に2つの周波数が近接した搬送波が存在する際、空間には、パルスが生じることにある。それは、この放射される周波数の間の周波数を有し、最大付近において、位相は、180度に到達する。これは、学校で習う。今、搬送波の
1つが位相変調であっても、事の本質は、これにより変わらない。GPS受信機には、位相変調航法信号を、受信機に存在するそのコピーを有する信号に変換する相関器が存在する。相関器の応答が最大に達するとき、これは、信号の到達時間ともみなされる。相関器の周波数帯(民間回線において、これは約2MHz)内に、もう1つの搬送波がある場合、これは、パルスを通して位相の反転した位相変調妨害波と等価となる。この結果、信号の受信は、単に行われない。

V.I.:このアプローチは、実践において、いかに実現すべきなのか?

V.K.:パルスの助けの下で衛星GPS信号を妨害するために、1,577MHz(民間回線)及び1,230MHz(軍事回線)の無変調の周波数を地球から放射すれば十分である。その上、送信機の出力は、懐中電灯のように、1Wでも上手く行くかも知れない!1Wは、直接視界500kmまでの距離において妨害するのに十分である。

V.I.:我が国産システムGLONASSの信号も、妨害できるのか?

V.K.:勿論だが、そこでは、より複雑になる。というのも、GPSの計24基の衛星は、1つの周波数(CDMA回線のコード分割モード)で動作しているが、我がシステムにおいて、各衛星は、独自の周波数(信号の周波数分割:FDMA)で動作しているため、このための送信機は、複数必要であるからである。

V.I.:実践において、あなたは、自分の構想を点検したのか?

V.K.:私は、イラク、ユーゴスラビア、NATO、国会対NATO委員会等の各国及び各種組織に、妨害装置の図式を送付した。イラク及びユーゴスラビアで起こったことを、あなたは知っている。つまり、「トマホーク」は、各種方向に四散し、イラク人又はユーゴスラビア人にすら、彼らが何を使用しているのか照会するか困難だったが、私は、アラブ人ジャーナリストとのインタビューに応じた。雑誌自体を私は見なかった。クウェートの同資料においては、装置が大学で開発され、記事の著者が教授と会見したことについて語られていた。というのも、それが使用されていることは重要ではないからである。重要なのは、侵略者が上空で憂鬱になり、GPSが故障したことである。いかなるアマチュア無線家も、いつでも、それを故障させられる。直接の目的である核兵器運搬用「トマホーク」は、既に使用されることはあり得ず、それは、数百万ドル高くなる。信じていない米国のある教授は、この構想を読んで、私に手紙を送った。当時、私は、標準信号発生器を取り外して、点検することを彼に勧めた。翌日、彼は、私が全く正しいと分かったと手紙をよこした。つまり、彼のヨットのGPS受信機は、大変小さな出力の妨害の下ですら動作しなかったのである。

V.I.:世界に、そのような装置の産業開発業者が存在するのか?

V.K.:そう、勿論、西側のプレスにおいて、そのような情報は、多く流れている。そして、我が国には会社が存在し、彼らは、複数の別のアプローチを使用しているだけである。つまり、彼らは、類似ノイズの信号により妨害しているが、これは、不必要であり、高くつき、結果は、恐らく、悪くすらなるだろうと私には思われる。「アヴィアコンヴェルシヤ」社が存在し、彼らは、既に1997年のジューコフスキーでの航空サロンにおいて、自社のjammersを展示している。

○以下の質問は、私が、モスクワにおいて、有限会社「アヴィアコンヴェルシヤ」社長、工学科学博士オレグ・アントノフに行ったものである。

ワージム・イワンチェンコ:オレグ・エウゲニエビッチ、どれ位前から、貴社は、航法受信機の妨害用機材を製造しているのか?

オレグ・アントノフ:我々は、1997年のモスクワの国際航空サロンにおいて、GPS及びGLONASS受信機の制圧のための携帯式妨害送信機を初めて展示した。これは、世界にセンセーションを呼び起こした。同時に、そのような受信機の軍人ユーザーの中に戦慄も。送信機の次の改良型を、我々は、1999年の同サロンに展示した。これらの送信機は、両航法システムGPS及びGLONASSの計4つの周波数帯域において、航法受信機の動作を阻止する。送信機により放射される妨害は、衛星からの信号と共に受信機に入り、独自のパラメータにより、座標変更過程の阻止をもたらす。その結果、受信機は、設置された対象の現在地の決定を停止し、妨害動作開始直前のその最終位置を消費者に与える。

V.I.:それは、いかなる性能を有しているのか?

O.A.:最初の送信機は、各周波数帯域において2〜3Wの出力を有していた。その動作距離は、重量3kg以下の下で直接視界により50kmに達する。今、我々は、各周波数帯域において20Wの出力を有する次の改良型を製造している。そのような送信機の動作距離は、重量10kgの下で150kmに達する。

V.I.:あなたの装置の動作原理は、カシノフ教授により提案されたアプローチと異なっているのか?そして、どの位、彼の構想は、信頼でき、実用的なのか?

O.A.:彼は、航法受信機の動作の制圧に関する各種構想を提案した最初の者にはほど遠い。最初のそのような提案は、GPSシステムが開発されたばかりの60年代末に既に現れた。その中には、彼の提案に付随する考えが存在した。概して、彼のアプローチは信頼できるが、彼は、まあ、この構想に達したにも関わらず、数学者であり、我々は、1992年からそのような施設に従事し、大量の実験を行った・・・。そして、彼の決定は唯一のものにはほど遠く、重要なのは、最良のものにもほど遠いと思う。

V.I.:イラク及びセルビアにおける「トマホーク」は、実現された構想により、四散しなかったのか?

O.A.:勿論、違う。その他の原因が、多かった。急激な機動の際、信号は失われるし、その外、低高度における大気の埃及び霧が影響し、後に、アメリカ人は、出来の悪い一番初期のミサイルを発射した。

V.I.:ちなみに、あなたの装置は、これに協力しなかったのか?そして、これは、実際に可能なのか?

O.A.:我が送信機の助けにより、「トマホーク」だけではなく、他の種類の武器の航法信号の妨害及びしかるべき故障も可能であり、これは、経験により点検すらされている。ちなみに、1999年の最近のモスクワの航空サロンで、我々は、情報武器の概念、我々がそれをいかに理解しているかを初めて公表し、そのような武器手段の全機材を展示した。11月、中国の航空サロンに参加し、関係者の新しい層は、この概念を知ることになるだろう。

V.I.:まあ、そして今、航法技術は、指令監督システム、救助勤務、航空隊、測地学等の各種領域において急激に発展している。妨害装置の拡散は、航法受信機が使用されている死活的に重要なシステムの故障の危険をもたらさないだろうか?

O.A.:いいですか、アメリカを閉鎖することはできず、これは、楯と矛の通常の発展過程である。言い換えれば、新しい各楯には、逆に、新しい矛が開発される。それ故、一旦、航法システムGPS及びGLONASSへの重大な対抗が存在すれば、つまり、今、その反対のことを航法システムの開発者が考えなければならない。

 自分からは、市場におけるそのような妨害送信機の存在が、そのような装置の需要を語っていることを付け加えるだけである。需要が存在すれば、遅かれ早かれ、軍人だけではなく、航法受信機の民間ユーザーも、同原理による「妨害」作用を自覚しなければならず、最初の行為で壁に立てかけた猟銃は、最後の行為で、必ず射撃しなければならない。

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最終更新日:2004/03/15

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