3.イラン・イスラム共和国の既存の国家体制の脅威

「民主化」

 ポスト・ソビエトの歴史的経験に従い、「民主主義」として解されているのは、都市プロレタリアート環境における親西側インテリゲンチヤの大衆化のための近代的な広告、政治及び情報技術の広範囲な使用を意味する外資の政治分野への自由なアクセスである。このために、通常、多国籍企業の要求受け入れが住民の福祉向上をもたらすはずであるとの住民の確信に帰する「経済」性のスローガンが利用される。この後、組織化された大衆抵抗行為が、その自由主義層を含めて、公権力を親西側集団の人質に変える。

 イラン・イスラム共和国では、現在、このプロセス開始のための明らかな基盤が置かれている。つまり、イランの新しい労働法典によれば、ジャーナリストは、事実上、炭鉱夫又は採油業者と同一視され、高賃金、期限前年金及び労働日の短縮に対する権利を有する。体制が特恵の提供により最も危険な社会層を味方に付けようとしているのは明らかであるが、「現金」払いが通常、著しく大きなリスクを受ける社会的特権より優勢であることは、良く知られている。

 西欧化と公活動への西側倫理の段階的浸透は、政治及び社会生活における女性の役割の向上とも関連して認められる。この関係において、過去数年間、イランでは、小さくはあるが、明白かつ常なる前進が行われている。つまり、1998年、ムスリム諸国中の第2回女性オリンピック・ゲームが行われ、スポーツに不可欠な女性の身体の露出の合法化プロセスにおける連続性を強調している。この際、組織委員会は、ハシェミ・ラフサンジャニの娘、ファイゼ・ハシェミが指揮した。現在、イラン・イスラム共和国副大統領は女性であり、全国では、300人以上の各レベルの女性代議員が数えられる。日常生活において、このプロセスは、テヘランにおいて、5〜6年前には完全に不可能だった現象、つまり、明るい衣服又は髪の一部の誇示により自分を惹き付ける女性にかなり頻繁に出くわすことに現れている。

 憲法により規定されていたが、以前行われていなかった広範囲な大衆の影響力を拡大する自治体選挙の実施(1999年2月から)に関する決定も、示唆的である。低水準の教育を考慮すれば、これは、近代的な広告技術を有する側を客観的に強化する。

 統治シーア派エリートは、内部のイデオロギー上の脅威にも脆弱である。若干のスンニー派ウレムにより第5のマズハブ(シャリアートの合法的潮流)と認められるジャファリート・シャリアートは、当初から、あらゆる種類の準公式かつ神秘主義的実践の是認と詩化を含んでいる。以前、このことは、テヘラン公式筋が アラウィ派(その代表がシリア・アラブ共和国で主要な政治的役割を演じているキリスト教要素を有するイスラム神秘主義宗派)をムスリムと認めたとき、イラン・シリアの接近を可能にした。今、いかに巨大な西側情報市場部門が神秘主義及び/又は秘教を占めているかを考慮すれば、このことは、イランの情報空間の最高レベルへの西側の浸透のための良好なカバーとなり得る。

■集成主義

 現在のイランには、集成主義者にとって、広範囲な活動の場が存在する。国民の約40%は、少数民族が構成し、その内約10%がスンニー派で、国民の約半数は、主として16歳以下の若者で、年間人口増加率は、2%を超える。この際、最高統制ポストは、50歳以上の者が占め、農村地の失業者と 都市移民が成長し、消費財は、平均して、80年代初めの水準に一致する。無秩序な税制と集成主義イデオロギーへの小ビジネスマン及び小資本主義生産者の感受性を向上させ、私的イニシアチブを制限するシンフ・ギルド・システムは、状況を深刻化させている。中小ビジネスは、 イラン経済の最も発展している部門の1つであり、直接又は下位請負人として小ビジネスを包括するサービス分野は、GDPの25%に達した。

 イラン・イスラム共和国に世界最初の集成主義国家であるアフガニスタン・イスラム国との国境、並びに自己実現を得られず、民主主義プロセスに失望した人々により必須的に拡大される巨大な社会基盤が存在することは、イラン社会における紛争の潜在性の更なる蓄積を前提としている。

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最終更新日:2003/08/24

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